夫の暴力の原因
夫が私たちに暴力を振るった原因は。ちょっとしたことで夫婦喧嘩をして、私の言い方がきつかった時。長男が勉強ややるべきことをちゃんとしなかった時。カッとなって手が出ました。
暴力は日常的に振るわれたわけではなかった。でも、圧倒的に違う力関係の中で、暴力を使って相手を威圧し恐怖で黙らせる、卑怯なやり方が悲しく我慢ができなかった。
普段は優しい人だから・・・
私への暴力は長男が生まれる前からありました。数ヶ月に一度の割合で大きな喧嘩をした時です。頭をキツく叩く、体を叩く、蹴る。髪を掴んで引っ張る。土下座させられたことも。「だまれ!」「うるさい、ばか!!」「お前の代わり(の女)なんかいくらでもいる、出て行け!」などの暴言もありました。
その度に離婚が頭をよぎったけれど、勇気がなくて決断できなかった。いつも思ったのは、「許せない。でも喧嘩の時私があんな言い方をしなければ暴力にはならなかったかも」でした。
31歳で結婚を機に仕事をやめて専業主婦になった私は、資格も経済力もなく「離婚したら不安定な身の上になる」という不安もありました。「ここでなんとか我慢して夫婦としてやっていかなければ。」
または、「夫婦間で暴力があるのは決して珍しいことではないかも。」「仕事熱心だし、普段は穏やかで優しいところもある人だから」そう自分を納得させながらやっていました。
子どもは授かるが・・・
そんな中でもどうしても子どもが欲しかった私たちは、2人の男の子を授かります。現在10歳(小5)と7歳(小1)です。
でも心のどこかでやっぱり許せなかった・・・・家事も育児もほとんど手伝うことのない夫。ワンオペ育児に疲れて孤独になる私。(当時はワンオペも孤独も自覚がなかったのですが。)私の心の中の怒りと不信感は年々増大していきました。
長男への暴力
長男は幼稚園の時から落ち着きがなくやんちゃな性格で、育てにくさを感じる子でした。小学生になるとさらに問題行動が目立つようになりました。(今年1月に市の医療機関でADHDと診断されるのですが)
夫が長男に暴力を振るい始めたのは小学1~2年の頃からでした。宿題をしていても集中力がすぐきれる長男の後ろに立ち、間違えたら頭を叩く、テーブルを叩く、等。長男はビクビクして集中どころではなくなります。長男の人格を否定するような言葉「馬鹿、カス、死ね」も出るようになりました。
私が止めに入ると「うるさい!殴られないとこいつはわからない!」と言って自分を正当化します。
市のDV相談に行き始める
今から3年前、もう夫の暴力、虐待に我慢が限界と感じた私は、市のDV相談室に行きました。私はそれまで自分の両親にも家族にも友人にも、誰にも相談できませんでした(電話で市のDV相談には単発で相談したことはあります)。暴力を受ける自分が恥ずかしくて、惨めで、情けなかったから。
そこでは、ただ泣いて泣いて、これまでのことを話しました。カウンセラーの先生はじっと聞いてくれました。そして「あなたは悪くないのよ」「どんな原因があっても、暴力は振るう方が悪いの」「あなたは守られるべき人です」と言われました。
その言葉がどれだけ衝撃だったか!それまで私は、夫を怒らせるようなことを言ったりやったりした私がいけなかった、私次第で暴力は振るわれなくて済む、という気持ちが心のどこかにありました。
警察に相談に行く
先生は続けて言いました。「まず警察に相談に行ってください。DVの被害登録をしてください」と。警察に事情を話し、名前住所電話番号を登録しておくと、いざという時に自宅から110番通報をしてワンコールで電話を切っても(名前住所を伝えなくても)、警察はすぐに駆けつけてくれる、と。
始めにそれを聞いても、「まだ警察を呼ぶほどのDVではない・・・」とも思いました。でも先生の言葉に突き動かされ、とにかく「お守り」のつもりで登録だけしに行こうと思いました。
私の意識の変化
先生にはその後も2~3ヵ月に一度の割合で話を聞いてもらいました。そうやって少しずつ行動を起こしていくと、次第に気持ちに変化が現れました。始めは頑固に「暴力受ける私にも非があるから・・・」「私よりももっと酷いDVもある」「私が我慢すれば・・・」と言っていた私ですが、私は暴力から守られるべきだ、非は夫にあるのだ、と思えるようになりました。
そしてまた、長男が暴力を振るわれ酷い暴言をうけることも、私が守ってやらなければいけない、と強く思うようになりました。
去年の夏、初めて姉にこのことについて打ち明けました。今年に入って、親友にも思い切って打ち明けました。二人共とても親身になって聞いてくれた。こうして、共感や応援してくれる人が増えると、ますます心が強くなって行きました。
そして別居へ
今年3月の夜、些細なことで夫が長男に怒り出し、暴力をふるって暴れだした事件をきっかけに、私は2人の子どもと共に家を出ました。
今は実家からそう遠くないの小さな家で母子3人で暮らしています。将来の経済的不安もあります。子どもたちも急に人生が変わってまだ納得していない部分も不満もあるようです。
でも、私も子どもたちも今はっきり言えるのは、別居して良かった、ということです。あのまま4人家族で暮らしていたら・・・家族の愛情も信頼関係も崩壊し、いずれ逆に子どもたちが両親に暴力を振るう、そんな家庭になっていたかもしれません。
一人で悩まないで
今、夫やパートナーからのDVや子どもへの虐待で悩んでいる方がこの文章を読んでくださっているなら。一人で悩まずに誰か信頼できる人に相談してください。またできるなら公的な機関に相談してみてください。もちろん、警察でもいい。
DVは閉鎖的な場所でおきます。DVをする人は言葉や暴力で相手の心を支配してコントロールします。そうなると被害を受ける人はそこから出る勇気を失い、自分が我慢すればいいのだ、自分が悪いのだという思考回路になります。
あなたは暴力を受けるべき人ではありません。誰かに助けを求めてもいいのです。あなたはそこから逃げていいのです。あなたはもっと幸せになっていいのです。
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